ある人が、
静かに歩いていました。
何も考えていないように
見えました。
突然――
大きな音がしました。
その人の身体は、
一瞬で動きました。
振り返る。
身を縮める。
心臓が速くなる。
でも、その瞬間。
「怖い」と考えていたでしょうか?
身体は、
考えるより先に
動くことがあります。
では――
最初に動いたのは
誰なのでしょう?
少しして、その人は
胸に手をあてました。
「びっくりした……」
ここで初めて、
自分の気持ちに気づきました。
別の日。
理由も分からないのに、
涙が出ました。
涙を見てから、
悲しいことに気づきました。
笑ったから、
楽しくなったのでしょうか。
楽しいから、
笑ったのでしょうか。
怖かったから
走ったのでしょうか。
それとも――
走り出した身体を見て、
「怖い」と感じたのでしょうか。
眠っているときにも、
夢の中で笑ったり、
泣いたり、怖がったりします。
眠っている意識は、
どこにいるのでしょう。
脳でしょうか。
心臓でしょうか。
身体でしょうか。
それとも、
その全部でしょうか。
自分の顔を見て、
自分の感情を知ることもあります。
では、
感情は最初から
自分の中にあったのでしょうか。
意識していなくても、
身体は動く。
意識していなくても、
心臓は鳴る。
意識していなくても、
感情は生まれるのでしょうか。
もし感情が、
身体の反応から生まれるのなら――
感情は
意識なのでしょうか。
それとも、
身体の働きなのでしょうか。
そして、もうひとつ。
もし意識がなかったら、
感情は存在するのでしょうか。
誰にも感じられない感情を、
「感情」と呼べるのでしょうか。
感情は、
意識なのでしょうか。
それとも――
身体に起きた出来事を、
意識が見ているだけなのでしょうか。
WHY?