BOOK 02
小さな世界にも、
まだ知らない物語があります。
小さな世界にも、
まだ知らない物語があります。
ある朝。
いつもと同じ場所なのに、
なぜか少しだけ
世界が違って見えました。
昨日まで気づかなかったものが、
今日はそこにあります。
本当に昨日は
なかったのでしょうか。
道のすみに、
小さな石がありました。
誰も見ていません。
でも石は、ずっとそこにいます。
風が吹きました。
木の葉が揺れ、
雲が動き、
見えない何かが通り過ぎました。
見えないものは、
「ない」のでしょうか。
風も、音も、
気持ちも。
遠くから鳥の声がしました。
姿は見えません。
それでも、
そこにいることは分かります。
では、
思い出はどうでしょう。
目には見えないのに、
昨日を連れてきます。
未来はもっと不思議です。
まだ何も起きていないのに、
私たちは未来を考えます。
ないものを想像して、
まだない場所へ向かう。
それは少し、
不思議なことです。
世界は、
見えるものだけで
できているのでしょうか。
たぶん。
見えないものも、
聞こえないものも、
まだ存在しないものも。
この世界の一部なのかもしれません。