ある朝。
世界のすみっこで、
小さな「なぜ?」が
目をさましました。
「ぼくは、
どこから来たんだろう?」
最初に出会ったのは、
道ばたの小石でした。
「ねえ。
なぜ、ここにいるの?」
小石は答えました。
「気がついたら、
ここにおった。」
小さな「なぜ?」は、
少し困りました。
次に出会ったのは、
忙しそうなアリでした。
「なぜ、
そんなに急いでるの?」
アリは言いました。
「止まったら、
何をしていいか
分からんから。」
「なぜ?」は、
また少し考えました。
こんどは、
花のまわりを飛ぶ
ハチに聞きました。
「なぜ、
花へ行くの?」
ハチは答えました。
「甘いものが
あるからや。」
「でも、
なぜ甘いの?」
ハチは黙りました。
風にも聞きました。
「なぜ、
吹いてるの?」
風は笑いました。
「吹いてみないと、
分からんよ。」
海にも聞きました。
「なぜ、
波は止まらないの?」
海は静かに、
寄せては返しました。
大きな木にも
聞いてみました。
「なぜ、
空へ伸びるの?」
木は答えました。
「光が、
あっちにあるから。」
夜になり、
月にも聞きました。
「なぜ、
光っているの?」
月は言いました。
「わたしの光じゃ
ないんだよ。」
星にも聞きました。
「なぜ、
そんな遠くにいるの?」
星は小さく瞬きました。
答えは、
聞こえませんでした。
小さな「なぜ?」は
考えました。
みんな答えを持っている。
でも――
その答えの先には、
また「なぜ?」がある。
そして、
また朝が来ました。
小さな「なぜ?」は
少しうれしそうでした。
答えがないなら、
また聞けばいい。
答えがないから、
私たちは考える。
答えがないから、
また新しい
「なぜ?」が生まれる。
そして今日も――
WHY?